『花のようなひと』 佐藤 正午 著


この岩波現代文庫には、書名となった「花のようなひと」の他に「幼なじみ」が収録されています。


「花のようなひと」

表題より、一つのお話にひとつの花が登場します。

一つのお話が2ページ。それを牛尾篤さんの挿画が彩ります。


例えば「姉の気持」

次のように始まります。


 花屋で涙ぐんでいる女のひとを見た。

 はたちくらいの若いひとだった。自分の意に反してあふれそうになる涙を人差指を目もとに添えて、堪えようとする。堪えるために何とか笑おうとする。でもうまく笑えない。エプロン姿の店員が励ますような感じでそばに立っている。こちらは三十歳前後の女性で、自然な笑みを浮かべている。

 私が店の中に入ってまもなくその客は帰っていった。店員が外まで見送って、戻ってくると私の注文を聞いた。


はたちくらいの女性が、その花屋で購入したのがスイートピーでした。

スイートピーと姉の気持、そして、この女性の気持。


次に、「未来の香り」


 気まずい別れ方をしたデートの翌日、携帯電話に彼からメールが入った。彼女はそのメールをすぎに開いて読んだ。一日の仕事があらかたかたづいた夕暮れどきのオフィスで、椅子の背にもたれて。

 最後まで読み終わると、彼女は短いため息をつき、苦笑いを浮かべた。


このお話で登場するのがスズラン。

スズランと彼からのメール。


 最後まで読み終わると、彼女は短いため息をつき、苦笑いを浮かべた。けれど最初からもう一度読み返して、結局、彼の書いていることを信じようと思った。


ため息と苦笑いと書いてありますが、題とスズランでストーリーは予想できますよね。

続きが読みたければ、是非、書店でこの本を手にお取りください。


たった2ページの物語。

2ページですが、様々な人生模様が描かれます。


花言葉。

花は、自身の花言葉を知らないでしょう。

でも、それを見る人は、その意味を信じたくなるのですよね。